「東進大学から合格通知が来たよ」
「だけど二部なんだ」
「来年 もう一度受験するよ」
「すべり止めでは格好が悪いからな」
息子にもう一年浪人生活をさせても
来年必ず希望の大学へ合格する保証はない
「二部だっていいじゃないの」
「オレはもっといい学校に行きたい」
「立派なもんよ」
「合格するのも縁の内だぞ」
「社会に出れば一部も二部もないわよ」
「首から二部卒業と書いたプラカード下げて生きるわけでは無いのよ」
「ここの大学は卒業証書に二部って記載しないんだ」
「それなら問題ないじゃないの」
「どうせすぐ辞めるんだろ?」
「辞めてもいいからそこにしておけ!」
「今のままだとお前は高校中退だ」
「大学に一日行って辞めても大学中退になるんだぞ!」
「分かるか! 同じ中退でも一ランクアップだぞ!」
夫のこの言葉に息子は
ケラケラと声を立てて楽しそうに笑った
こんなに父子が和やかに
会話ができたのは 何年ぶりだろうか